SSブログ

満開の桜並木、今年はさっぱり 「切りすぎ」の苦情に名古屋市は?……

2024年02月28日(水)

朝,うるさいな,と思ったら,
造園業者が入って,樹木の剪定をやっていた.

買い物に行く道の街路樹は,いつからだろうか,葉を落とした秋冬,まるで電信柱のような姿を見せる.こんな強い剪定をするようになったのは,そんなむかしのことじゃないように思い返す.

いや,そうでもないだろうか,
もう30年以上前だったか,仲間うちの議論のなかで,街路樹の剪定が話題になったことがあった.
そのころ,豊橋だったか,市長が街路樹の「無剪定」を市の方針として打ち出していた.
(あるいは,別の自治体だったろうか.)
街路樹が枝を伸ばしすぎて,電線類の邪魔になるとか,信号が見にくくなるとか,そんな理由から街路樹の剪定が行われていたわけだ.それでも,今のような強い剪定があったか,あまり記憶にない.
で,その自治体の場合には,必要なら,電線類の設置をもう少し高い場所にするとか,信号機の設置場所を再検討するとか,そういうことを話されていたように記憶する.

近くの街路樹,たぶんユリの木らしいけれど,太い幹が途中からチェーンソーで切り取られ,しばらくすると,切りとられた付近から蘖(ひこばえ)のような小枝がたくさん生えてくる.
夏に向かって,さかんに葉を茂らせるようになると,秋冬の電信柱のような樹形は見えなくなるのだけれど,なんだかなぁ,ちょっと切なくるとともに,じつはひとの背丈のぐらいの枝が払われていないことに気づく.

街路樹は,たんなる装飾ではなかったのだと思う.
街並みの景観のためにだけ,街路樹があるわけじゃないだろう?
夏の熱い日差しを和らげ,ちょっとした雨ならば,すこしばかり雨の勢いを殺してくれる.
とくに地表がどんどんアスファルトやコンクリートに覆われてきた都市部にあっては,やはりとても貴重な「自然」じゃないかと.

さいきんテレビの番組で,庭師の仕事を取りあげていた.
足立美術館の造園の考え方とか,桂離宮だったか,それぞれの庭園整備の考え方が語られていたけれど,いずれも,街路樹のあの太い枝すら切り落としてしまうような,そんな剪定はやっていなかったな,と思い返す.
どうしてこんなふうになったんだろう,と.

神宮外苑の街路樹伐採問題とか,千代田区の道路整備にともなう街路樹伐採とか,
なんだかな,と思う.

記事のなかに,落ち葉などの処理の苦情も出てくる.
多少の理解をしたいとは思うけれど,道路管理者の責任でやらせるべきじゃないのか,と思う.
金がかかる,というのだろうな.しかし,街路樹を整備するということは,長期的にそういうコストが生じるということでもあったはずだ.
剪定作業にかかる経費のいくぶんかを,そうした道路環境の維持に振り向けるとか,そんなことは考えられないだろうか.

こんな強い剪定で電柱のような街路樹をつくるんだったら,いっそ,電柱を緑に塗りたくってしまえばいいじゃないか……とか,
いや,ビッグモーターこそが先駆者だったりとか,ちょっと悪態をつきたくなることもあるのだけれど.
そういえば,街路樹だけでなく,公園や緑地の樹木まで強く剪定されているのを目にすることもある.なんなのだろう

谷口ジローさんの漫画に,街路樹じゃないけれど,ある空き地になった宅地の大きな木が出てくる.
その木の,木陰に横になっていると,むかしの記憶が呼び起こされるような,そんなストーリーじゃなかったかと思うけれど,
樹木の,そこだけちょっと自然を感じさせるようなところを思うことがある.

そういえば,国立市で,学校の建て替えで,それまでのさくらの木が伐採,除却されるということが話題になったのだそうだ.
運動場なんか狭くたっていいから,もっとたくさんの樹木や草花を植えたらどうか,などと思ってしまう.


―――――――――――――――――――――――――

満開の桜並木、今年はさっぱり 「切りすぎ」の苦情に名古屋市は?
土井良典2023年3月15日 19時30分

 早咲きのオオカンザクラで有名な名古屋市東区の並木道。例年は見物客で渋滞が起きるほどだが、今年は落胆の声が聞かれる。道を覆うほどの枝ぶりがすっかり払われたからだ。桜を管理する市は「往来の安全確保のため」というが、見る者の心は花盛りとはいかないようで……。

 並木は、東区の泉・白壁地区を南北に走る市道約1・4キロの両側に、約140本が植わっている。例年、満開の桜がアーチのように見る人を出迎え、区も開花情報をSNSで発信してきた。

 「名古屋で一番早く咲く桜を植えてほしい」。区によると、1961年春に地元から要望が寄せられた。並木は市の所有だ。

 しかし、時の経過とともに状況は変わった。東土木事務所維持係によると、伸びた枝が背の高いバスやトラックなどに当たっていたという。そのため、「桜を傷つけず、倒木を防ぐためにも剪定(せんてい)が必要」と判断した。

 昨夏、140本のうち樹齢が長い南側の47本の枝を落とし、生育の悪い数本は抜いた。どの枝をどう切るかは市の職員が判断し、剪定後に樹木医にみてもらった。土木事務所には、ここまで本格的な剪定の記録は残っていないという。

 今年の花の量は例年の2~3割ほどの印象だ。枝と枝の間からは空が見通せる。

 14日、並木を訪れた人はみな驚いていた。「えー、と思った」「サクラは伸び放題だからきれいなのに」「一番見どころの場所を切った」「邪魔になっている所だけ切るとか、もう少し段階的に切るとか、別の切り方があったのでは」

 区役所にも毎日のように苦情が届くという。区役所のある職員も「木がさっぱりしすぎてびっくりした」と言う。

 土木事務所の担当者は「地元で愛されているのは承知している。切らないで済むなら私たちもそれが一番」とした上で、「道路脇にある以上は剪定のタイミングが来る。ご理解いただくほかない」と話す。

 近隣の住民の中には剪定を歓迎する人もいた。ある男性は、落ち葉や散った花びらが排水溝にたまって詰まらないようにボランティアで掃除をしているという。その量は半年ほどでゴミ袋で約50袋。「落ち葉は本当にすごい。文句は言わなかったけど我慢の限界に来ていたのは事実。景観か? 暮らしか? それは賛否両論だよね」

 別の樹木医の男性は、並木の写真を見て、「管理者として切るのはわかる」とした上で、「切るタイミングは葉の茂った夏ではなく、木にエネルギーがある芽吹く前か、花が咲いた後がいい。他の街路樹のように樹幹からばっさり切るよりも、もっと枝を選んで切るやり方はあった」と話す。見る側にもこう呼びかける。「花を管理するのは大変。見る側もただで楽しむのではなく、市や周辺住民の苦労に関心を寄せて、みんなで桜を育てる視点が大切ではないか」。肥料をしっかりと施せば、2、3年で樹勢は回復するとみる。(土井良典)

nice!(0)  コメント(0) 

nice! 0

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。