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アムネスティ通信 メリリャノ悲劇――責任を拒み続ける両国政府

2023年07月08日(土)

まったく知らない問題,
全国紙2紙の記事を検索したけれど,出てこなかった.

つまり,そういうことなんだろうな,と思い知る.
Googleで検索すると,観光情報の他に,1件,arab.newsに記事があった.APの記事だろうか.

……そこまで網羅的に情報を拾いきれない,ということなんだろうとは思うけれど,
知らないのは仕方ないとして,しかし,それは想像力を制約しないだろうかと,自分のことを振り返る.

戦争に関する報道を見ていて,
お前はどう考えているんだと,ちょっと振り返る.
先日,テレビでウクライナ戦争に関連した番組だったか,大学教師などの「専門家」のインタビューがとりあげられていたか.
ただひとり,第一次世界大戦後のベルサイユ講和会議での,ドイツへの賠償に触れていた.
ドイツに過大な賠償責任を負わせることに,
というかそういう表現自体が,ある種の価値観を示してはいるのだけれど,
政治,経済などの面で問題があったのではないか,と.
それは,じつは,ソ連邦崩壊時の問題と重なるところがあったのではないか,という指摘につながるのだけれど,
あまりに理不尽な,と見えるロシアの仕掛けた戦争のゆえに,
歴史的な背景,この30年余の政治,経済などの変遷についてのきちんとした情報提供が,
ちょっとおろそかになっていないか,と感じる.

そして,この北アフリカの小さな領域での事件が,
小さなメディアに掲載されていた.

まぁ.不勉強な自分が問題ではあるのだけれど.


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【世界】2023年02月

アムネスティ通信

メリリャノ悲劇
――責任を拒み続ける両国政府


 北アフリカには、モロッコと国境を接する二つのスペイン飛び地領がある。その一つがメリリャだ。二〇二二年六月二四日、この国境を越えてモロッコからメリリャに渡ろうとした移民・難民が命を落とした。その数は少なくとも三七人に上る。そして今も、七七人が行方不明だ。
 この日、約二〇〇〇人が国境に押し寄せたが、何も突然、事が起きたわけではない。何週間も何カ月も前から、メリリャ周辺では移民・難民(ほとんどがスーダン出身者)が、モロッコ治安当局に手酷い扱いを受けていた。それから逃れようとスペイン領との国境に向かったのだ。しかし国境では、モロッコ当局もスペイン当局も、これを力で阻止しようとした。
 モロッコの国境警備隊員は彼らに石を投げつけ、警棒で殴りつけた。けがを負い地面に倒れている人たちに、殴る蹴るの暴行を加えた。国境フェンスに囲まれた狭い場所に追い込み、けがをしていようが死んでいようがお構いなしに、倒れた人たちの上に人を放り投げた。スペイン側も入国させまいと、警棒、ゴム玉、発煙筒、催涙ガス、唐辛子スプレーを使って押し返した。暴力は制圧後も続いたという。難民・移民は、国境の囲いの中に閉じ込められ、双方から二時間にもわたって四方八方から攻撃を受けたのだ。アムネスティが調査で得た映像は、目を覆いたくなるほどショッキングなものだった。
 モロッコもスペインも、今に至るまで惨劇の責任を否定し続けている。スペインの内務大臣は、わが領土では死者は出ていないと主張する。しかし証拠や証言は、別の事実を指し示す。内部大臣は負傷者に手当を受けさせなかったという批判も否定したが、傷口が開き血を流している人たちをモロッコ側に引き渡したという証言がある。調査を行うオンブズマンによれば、スペインは約四七〇人をモロッコ側に押し返した。押し返された移民・難民は刑務所でさらに暴力を振るわれ、多くが実刑を受けた。バスで遠方に連れて行かれ、所持品を取り上げられて、その場で置き去りにされた一団もいるという。人種差別に関する国連特別報告者はこの悲劇を、「アフリカや中東系その他の非白人の人びとに対する人種的排除と暴力という、欧州連合の国境管理体制を浮き彫りにするものだ」と述べる。両国政府は隠蔽をやめ、真相解明と責任追及に取り組まなければならない。そして欧州は移民・難民政策を、人命・人権尊重へと転換すべきだ。

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