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米各州、10代雇いやすく/人手不足で法改正相次ぐ 貧困層の学業に支障も 【日経】2023-04-26

2023年09月10日(日)


さいきん「大学」の費用対効果が悪くなっていている……とか,
そんな記事が出ていた.アメリカでの話なのだけれど.
列島の国ではどうなるのか,わからないけれど.

そして,この「児童労働」の話題,アメリカで.

そのうちこの列島の国でも,同じような議論が出現しなければよいけれど.

教育の外部効果の大きさは,それこそアメリカの経済学者が指摘してきたことじゃなかったのだったか.

いや,新たな資本主義の創世記?というのは冗談として,
なんともヘンな国だけれど,その国にへつらっているかに見える国もまた,ちょっと心配だな.


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米各州、10代雇いやすく
人手不足で法改正相次ぐ 貧困層の学業に支障も
2023/4/26付日本経済新聞 朝刊

[写真]南部アーカンソー州のサンダース知事は3月、児童就職の手続きを簡略化する法案に署名した=ロイター

【ワシントン=赤木俊介】米国の各州で企業が18歳未満の労働力を確保しやすくする法改正が相次いでいる。移民受け入れ制限などによる人手不足を和らげる苦肉の策だが、貧困層を中心に児童の学業に支障をきたす恐れもある。

南部アーカンソー州の議会は3月、14歳以上16歳未満の未成年が州の労働省から了承を得ずに働けるようにする法案を可決した。共和党のサンダース知事が法案に署名し、成立した。

東部ニュージャージー州では2022年7月、16歳以上が夏休みに入っている場合に限り、最大で週50時間の勤務を認める法律が超党派の支持を得て成立した。14~15歳も最大で週40時間働くことができる。

中西部オハイオ州の議会上院も3月、保護者からの了承があれば14~15歳の労働者が学年度中も夜9時まで働ける法案を可決した。

米国では産業革命後、児童労働が多くみられたことから、連邦政府は1938年に成立した公正労働基準法(FLSA)で児童の労働基準を定めた。18歳未満の労働は法律上は可能だが、例えば14~15歳の児童は重機の運転や製造業、鉱業など危険を伴う労働ができない。学業に支障が出ないよう平日の勤務時間も制限している。これに各州が独自の基準などを設けてきた。

各州の相次ぐ法改正は、連邦政府より緩い労働基準を取り入れて、企業が児童を雇いやすくする狙いがある。

背景には米国で長引く人手不足がある。トランプ政権以降、移民受け入れ制限が続いているほか、ベビーブーマー世代の早期退職などもあり米国では2月、失業者1人に対し求人が約1.67件あった。求人がおよそ2.01件あった22年3月のピークから減ったが、新型コロナウイルス禍直前の20年2月(約1.22件)をなお大きく上回る。

企業から議会に対し、未成年の労働基準を緩めるよう求める動きが出ていた。各州の商工会議所や、宿泊・飲食サービスの業界団体が規制緩和の法案を支持している。特に「小さな政府」を掲げる共和党が強い州で、規制緩和の動きが活発だ。

懸念する声も多い。貧困層を中心に子どもの労働時間が増えれば学業に支障をきたす可能性があるためだ。米ダートマス大学のエリック・エドモンズ教授は「児童が授業のある日でも働いていいというメッセージが(親の間に)広まることを懸念している」と警鐘を鳴らす。


子どもの意思を尊重せず、搾取につながる恐れもある。2022会計年度(21年7月~22年6月)の米国内の児童をめぐる労働基準違反の検挙件数は835件と高水準だった。22会計年度中に被害にあった児童は3876人と、前年度から1000人以上増えた。児童のうち688人は危険な労働環境で働いていた。

労働基準の緩和をめぐっては、米国へ出稼ぎのために訪れる未成年の移民が増える可能性も指摘されている。

未成年の労働が広がれば、学業面での制約などで経済格差の拡大を助長しかねない。

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