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減税とか,現金給付とか……,この国は.

2023年10月26日(木)

減税?
現金給付?

いや,なんというべきか,乏しい知識を動員しながら考えて,
いつから,こんなばかげというべき政治家を抱くようになったんだろう.

いや,消費税の制度設計などもあったんだろうと思う.
さかのぼって,税制が所得再分配政策と関連付けられているという古い教えを思い出す.
そして,どうなったか,思い返す.
アメリカの俳優組合出身のレーガンの時代か,
サッチャーのイギリスか,
尻馬に乗る中曽根の時代か.

下って,ほんとうにばかげたふるさと納税だとか.
お金を恵んでやるから我慢してくれ……みたいな,
でも,そのお金はどこから出てきているか…….
いったい税とはなんだったのか,なんのために国家,自治体に支払ってきたのか.
なんとも,コトバを失いそうだ.

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指定管理者制度20年の功罪(下)多様化する「専門性」 図書館のあり方問い直す

2024年03月13日(水)



個人的には,いまさら……の感もあるのだけれど,
そもそも公共施設として,税金を投入してい整備された施設,よくいう箱物を,
どのように利用するのか,運営するのか,
きちんとした見とおし,目論見が,
設置主体である自治体にあるのだろうか,そう思い返す.

岩波書店だったか,ニューヨーク公共図書館に関する大判の本を出版したのは,
もう30年余もまえのことだったか,ちょっと忘れて岩波書店のHPを見たけれど,
ちょっとわからない.
記憶の間違いかな,いや,そんなことはないと思うのだけれど.

自治体で,
ぼくの偏見があるのだけれど,
最優先は,学校,小学校・中学校,ときに高校,まれに大学,
そして,公民館がつくられる.
公民館に図書室とか,図書コーナーが置かれる場合もあるのだろう.
公民館と銘打たなくても,似たような性格の施設が整備される.
公民館で,社会教育施設だとなると,文部省が色々な制約を課している……とかんがえると,
看板を変えて地区センターとか,名称を変えて,中身はよく似た施設がつくられる.
これが一巡して,
世の中も落ち着いてきて,学校整備の圧力が減少したこともあったのだろう,
博物館とか美術館,ならんで図書館の整備が議論されるようになったか.

ちょっと先をみたところでは,文書館などの構想を議論されたのだろう.

社会教育という言葉で思いだしたけれど,
松下圭一 社会教育の終焉
が1986年に出版されていた.おもしろかった.自分の実感からも納得できるように感じた.
すでに1970年代に,生涯学習だの,生涯教育だの議論されていたし,
OECDなどが,リカレント教育の議論をしていた.
で,このリカレントを,この国では社会教育の文脈で考えていたのではないか,
そんなふうに思った.

自治体で事情は異なるかもしれないけれど,
住宅開発などで郊外地域などで様々な遺跡が見つかる.
いや,都心部などでも同様なのだけれど.
そうするとそうした遺跡からの出土品などをどうするか,
それで博物館などの構想が議論されるようになる.

……などと振り返ってみると,なにか将来を見とおすようなビジョン,政策や計画があったのかな,
と思う.
行き当たりばったりとは言わないけれど,財政的な見通しなども含め,あるいは要員管理などの観点も含めて,議論がすすめられただろうか,
ちょっと疑問があり,そして疑問はまったく解消されなかったように思う.
自治体によって大きな違いがあったようだけれど,
図書館や博物館などのスタッフに,多くの非正規職員が充てられていたのではないだろうか.
アルバイトとか嘱託とか.
そのうち人材派遣が公認されてきた,
派遣スタッフが増加する.
もともと非正規職員が多かった箱物では,容易に派遣社員への転換が進んだかもしれない.

現場で働いているスタッフは,どんなふうに事態の推移を見ていたのだろう.
組合などの存在は,こうした推移に対して,歯止めになるとか,そんなことがあっただろうか.

図書館については,多くの地域に図書館整備を求める住民運動が見られた,
いま,どうなっているか,よくは知らない.
それでもそうした住民運動がじっさいの図書館に結実したところは少なくないのだろう.

いつだったか,そうした住民運動のメンバーとあったことがあった.
彼らは,総務省にして管理者制度について,もちろん反対というか,見直しの立場から,
陳情にいったのだという.総務省側の,実務者レベルでの対応だったようだけれど,だいたい理解できるようなことを回答したようだった.

よく理解できないのだけれど,
指定管理者による運営が,自治体の直営より勝っているのかどうか,ちょっと疑問があるのだけれど,
派遣スタッフの人数が,直営の場合より多くなるということは,あまり期待できないように見える.
しかも直営の場合よりふんだんに予算をつけるということも考えがたい.
そして,予算から支払われる運営委託経費から,指定管理者となる会社は,一定の利益を得るのだろうから,さていったいどのくらいの資金が,じっさいに現場で働くスタッフに支払われるのだろう?

図書館に限るはなしではなく,多くの指定管理者による運営施設で,同じようなことが考えられる.

そういえば,同一労働同一賃金という原則があった.いまどんなふうに考えられているのか知らない.
年配のスタッフの再雇用を見ると,みな大幅な収入ダウンが前提になっているようだ.
でも,分担している仕事は,その報酬に見合うものだろうか,と思うことが多い.

もうずいぶんむかしのことになってしまったけれど,
労働組合の活動家と,給与体系,昇級曲線のありかたとか,定年退職者の再雇用時の報酬のあり方などについて,議論をしたことがあったけれど,あまりいい反応は見られなかった.

あわせて専門的なスタッフの処遇,配置管理,昇級・昇任などの議論も,同様だったように記憶する.
自治体には,専門的なスタッフがいないわけではない.
地方の自治体で,なかなか人材確保がむずかしくなっているようだけれど,
業務上,組織の必要もあって,技術系のスタッフは,相応の学歴などを有するスタッフを雇用してきただろう.病院などを経営している自治体では,当然,医療系の専門スタッフを雇用しているわけだ.
教員なども同様か
ただ,その組織,自治体の中で,どんなふうに処遇されているか,配置のあり方や昇級・昇任などがどんなふうにデザインされているか,いろんな問題があるのだろうとみる.
国で,大蔵省の主計部門が力をもっていたと言われるけれど,そのなかにどれほど専門的業務分野,行政分野に理解を持った人がいただろうか,と思うことがある.
いや,それは,図書館であれば文部省の予算や人事などのスタッフの仕事だということかもしれないけれど,
じゃ,文部省はどうだったか.
同じようなことが自治体内部でも言えるのだろう.

別の見方をすれば,
つまりその程度にしか見ていないのだと,
役所全体としては,その程度の位置づけしか与えていないだろうな…….
民間企業でも同様だろう,違うかな.

それでいいのか?と言えば,やはり整備し,箱物をつくったのなら,
それなりの運営管理が求められるし,それなりの顧客というか,住民のニーズがあるのだと思う.
そこはむずかしいけれど,行政が,全体的に保守的,新しい取り組みについて,否定的と言うことではないけれど,あまり積極的ではなかったように思うけれど,
それは,それなりに理解しうるところもあったのかもしれない.
いったん整備した施設は,使わなくてならないし,使うためにさまざまな手当が必要だし,
つまり経常的に,一定水準の負担をしていかなければならない.
そのための資金的な見通しがあるのか,相応の検証が必要だということだろう.
しかも,ただ安くあげられればいい,というものでもないだろう.
スタッフの増員は,いっとき自治省によって厳しくチェックされていた.
いまでも同様かもしれない.

もうひとつ,専門的なスタッフの養成課程に,課題はなかっただろうか.
あるいは,法定の資格が定められる場合,
司書とか社会福祉士などがあるけれど,
その資格の内実は,現場でどのくらい役に立つのだろうか.
司書の場合,ほとんどの司書が文系,それも文学部などの人文系の出身ではないだろうか.
しかし,この国の出版は,じんぶん分野の本ばかりではない.
分量では理工系がかなりの点数を出していたはずだ.
しかし,ある時期,子ども本と,それからいわゆるベストセラーのような本ばかりが,
目立っていた.

ニューヨーク公共図書館から刺激を受けた……というわけでもなかったろうが,
図書館の役割,活動の中身について,いろいろ考えるべきことがあるのではないか……,
そんな動きがなかったわけではないし,具体的な試みがあり,続けられてきただろう.



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指定管理者制度20年の功罪(下)多様化する「専門性」
図書館のあり方問い直す
2023/10/25付日本経済新聞 朝刊

「数年で運営が変わるような制度では、共に歩めないという思いがあった」。ボランティア団体「守谷の図書館を考える会」代表の森本菊代氏は強調する。

[写真]図書館流通センターは運営する図書館に託児サービスの導入を進めている

茨城県守谷市の守谷中央図書館に指定管理者が入った2016年、この団体は「図書館と歩む会」から改称し、反対の声を強めた。図書館の実務にも混乱が起き、19年には市直営に戻った。

当時のことを森本氏はこう振り返る。「資料検索を頼んでも満足いく回答が得られず、職員の質が落ちたと感じた」

業務引き継ぎがうまくいかず新館長は2カ月で退職。3カ月でスタッフ5人が辞めた。窓口やレファレンス、書庫などの担当を2時間交代にしたのが原因という。指定管理者導入の合意形成も十分ではなく、マネジメントが混乱し、図書館機能が劣化したといえる。

一方、利用者の評価は悪くなかった。指定管理になって休館日は年51日減った。日々の開館時間は1時間半延長。利用中に子供を預けられる「育児コンシェルジュ」や本を消毒する「ブックシャワー」も評判が良く、直営切り替え後もサービスは続いている。

この図書館の運営に携わったのは、大日本印刷グループの図書館流通センター(TRC)だ。データベースや物流も手がけ、全国の指定管理図書館の半数以上を担う。谷一文子社長は「守谷は自治体から円滑に引き継げず、直営に戻ってしまった唯一の事例」という。

全国の約3300の公共図書館のうち、指定管理者制度を導入したのは約2割にあたる。20年間増え続けてきたが、この6年は伸びが鈍った。北九州市では6月、指定管理者として図書館の運営を担った会社が、本の貸し出し実績を水増ししていたことも分かった。

日本図書館協会は「図書館への指定管理者制度の導入はなじまない」とたびたび提言。同協会の植松貞夫理事長は「一貫したコレクションが構築されないなど、安定した図書館サービスが保証されない」と説く。運営期間が定められた指定管理では、レファレンスや資料収集にあたる職員の専門性を確保しづらいという懸念が根強い。

とはいえ指定管理者制度が始まって20年、図書館員のうち司書・司書補の資格を持つ人の数や割合は、委託・派遣で働く職員が、自治体の正規職員を上回るようになった。図書館と指定管理に詳しい尚絅大学の桑原芳哉教授は「柔軟に働ける指定管理の民間事業者の方に(有資格者が)集まりやすい」とみる。

さらに「指定管理者に一度選定されると更新されるケースが多く、ノウハウは蓄積する」(桑原教授)。TRCも10年以上にわたって働く社員は多く「専門性は高い」(谷一社長)という。「自治体直営=専門的」と単純には割り切れなくなっている。

図書館に求められる専門性も多様化している。本の貸し出しやレファレンスだけでなく、イベントによる文化の発信や、住民の居場所としての役割もある。もちろん長期的な資料の収集・保存などの重要性も失われるわけではない。

予算が限られる中、公共図書館数は20年前に比べて1.2倍に増えている。低賃金の非正規職員が日常業務を支える構図は、指定管理か自治体直営かという運営形態にはかかわらず問題になっている。その対応も含め、住民や利用者が図書館の役割とあり方をどう捉えるか。議論の行方により、指定管理者制度の有用性も変わって見えるだろう。

=おわり

佐々木宇蘭、西原幹喜、安芸悟、増田有莉、伊得友翔が担当しました。
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