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(序破急)火葬の順番を待つ時代

2024年03月11日(月)


いつごろからだろうか,メディアが火葬場が足りない……とか,
地域によってかなり差違がありそうだけれど,そんな情報を取りあげるようになったのは.

人口統計をみると,だいたい毎年の死亡数もかなりの精度で把握されるのだろう.
そして,この国では,もうほとんどどの地域でも火葬がふつうになっている.
火葬場,というか火葬の炉数は,最大でどの程度必要になるか,
計算できるのだろうが,どうなっているのだろう…….

火葬場の見学に行ったことがある.

火葬場の新設が,地元の反対運動で,ひどく難航したこともあったか.
まぁ.立地によってかなりの違いがあったのだろうが.

同じように,特養ホームもだいたいの必要な規模が推定できただろうと思う.
もちろん火葬場の場合と異なって,入居の基準などが変われば,必要な規模なども変わるのだろうけれど.
そして,たぶん,もういまさら……と思うことがある.

そういえば,記事には火葬場のフル稼働ということばが出てくるけれど,
じっさい,どんな稼働状況なんだろう.

かつて友引の日は,お休みだったけれど,さいきんは稼働させているようだとか.
もちろん利用者である遺族の意向,都合もあるんだろうけれど.


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(序破急)火葬の順番を待つ時代 論説主幹・山中季広
2023年11月5日 5時00分

 この秋、叔父を見送った。享年90。慌てて喪服を準備したものの、実際に葬儀に参列したのは、亡くなってから6日も後のこと。火葬場に空きがなかったからだ。

 専門家に聞くと、こうした火葬の順番待ちは首都圏では何年も前から常態化しているという。「西日本はまだしも、東日本はやや深刻です。東京都や神奈川県では8日待ちとか10日待ちが珍しくありません」と全日本墓園協会の主管研究員横田睦(むつみ)さん(58)は話す。

 墓園協会は、全国の火葬場や葬儀場に実態を尋ね、結果を今夏発表した。厚生労働省の補助を受けた初の大規模調査で、火葬を待つ間、遺体を安置できる施設が不足しているという回答が25%を超えた。自宅や寺院では短期間しか安置できないため、専門業者に遺体を託す例も多かった。1日あたりの費用は1~2万円のところが主だった。

 超高齢化した日本で、昨年の死者数は156万人余り。過去最多である。今後も増え続けて、ピークは2040年ごろと予測される。だからといって、ただちに火葬施設を増やす自治体は少ない。

 「迷惑施設と目されがちで、住民への説明や用地買収に10年以上かかることも。20年先に需要減が見えているので、むやみに新設できません」と横田さん。

 もちろん火葬場も工夫を凝らす。昼間だけだった火葬を朝や夕も引き受け、休眠施設も再利用する。「縁起が悪い」と避けられてきた友引の日にも稼働するところが出てきたそうだ。

 世界に目を向ければ、日本のように亡くなってすぐ慌ただしく葬儀をする国ばかりではない。一般社団法人「火葬研」代表理事の武田至(いたる)さん(58)によれば、たとえば米国では、遺体に防腐処理をして修復や化粧をするエンバーミング技術が普及しており、遠方の家族や友人が集まるまで儀式を急がない。ときには数週間待つこともある。「遺体を慌てて遠ざけず、ゆっくりと別れを告げる。そんな葬送文化が多くの国に根付いています」

 わが叔父の葬儀当日、火葬場では15基もの炉がフル回転し、場内を喪服の集団が足早に行き交った。いつの日か、私が入るであろう棺(ひつぎ)もこんな風にバタバタと運ばれるのか。そう思うと、少しやるせなくなった。

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