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〔大機小機〕 日本経済の展望が見えない

2023年11月26日(日)

あまりお役人の評判がくない……らしい.
国は国なりに,地方は地方それぞれに,か.
それなりに志望者は少なくないのだろうが.

それで,じゃ,政治家はどうなんだろう、と思う.
役人をこき下ろす政治家が喝采を浴びたり,がんばっていると評価されたりする.
いや,昔,高級役人とトラブってクビになった大臣もいたか.
なんとかカードが前にすすまないのは,お役人のせいか……などと,
で,それ,ホントなのか?と思う.
そんな政治家にすり寄る役人も、少なくないのだろう.
国でも,地方でも.

でも,じゃ,具体的に,どういう役人の、どういうところ,どういう仕事ぶりが,
どのようにおもしろくない,ダメなのか……,
ちょっとどうなのかな,とも思う.

そういえば国の設置する調査研究機関がずいぶん名前を変えてきた.
なんとなく「無用の長物」みたいに扱われていないか……と思うこともある.
そうかな,と思うのだが,
民間の「調査研究企業」,シンクタンクとかいうらしいが,
そんな企業が繁盛したり,いや,もちろん民間部門で繁盛するのはなんら問題ではないけれど,
昔から「審議会」など,役人の隠れみのじゃないか,などとちょっと疑いの目で見られることもあったようだけれど,まぁ,それでもそれらはたいてい一応根拠となる法律などがあったな……,とするとそれなりに議会のチェックがはいっていたはずだ.
いつごろか,「○○会議」とか,「私的懇談会」……とか,いろいろ増えていたな,と思い出す.
議会はなんのためにあったかな,都原則論を思い出すだけではなくて,
国の調査研究機関はどうしているんだろう,とか,
地方でも独自にそうした組織を置くところがあったな,とか.

……そうして,別に経済だけじゃなくて,医療とか,生活保護などの福祉施策とか,「国土の均衡ある発展」とか見えないことはどんどん増えているんじゃないか,とも.
たぶん教育など,その最たるところがあるんじゃないか,とも.

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〔大機小機〕 日本経済の展望が見えない
2023/7/27付日本経済新聞 朝刊

20年余り前、日本の名目GDP(国内総生産)は世界の6分の1を占めていた。今や20分の1になっている。中国に抜かれ、数年後にはインドにも抜かれそうだという。ケタ違いの人口が大きな要因の一つだが、1人当たりのGDPもさえない。既に香港やシンガポールを下回り、今年は韓国に抜かれそうだという。

スイスの経営大学院IMDの「世界競争力ランキング」でも日本は今年、64カ国・地域中35位と調査開始以来、最低に沈んだ。一言で言えば「国力の低下」ということか。

こうした中で岸田文雄政権が掲げる「新しい資本主義」はどこに行くのだろうか。新自由主義への反動で生まれた「新しい資本主義」。格差是正や脱炭素社会など公益性重視を打ち出し、国民からも一定の支持は得ている。経済力が低迷するなか、こうした公益性をどう実現するのか。

分配政策重視の下で、力強い成長を実現する難しさは多くの歴史が教えるところである。岸田首相も分かっているのだろう。先週の経団連の軽井沢フォーラムでは「成長があってこそ分配ができる」と言い切っている。人口減少が進み財政難が続く中で、生産性や潜在成長力をどう高めるかが、やはり問われる。

政府の「新しい資本主義のグランドデザイン」には「成長と分配の好循環」「分厚い中間層の形成」「官民連携による社会的課題解決」と心地よい言葉が並ぶ。個別政策も網羅している。では労働力人口や産業構造、財政はどうなるのか。データに裏付けられた日本経済の骨格、将来の姿がはっきりしない。

マクロ経済運営の司令塔も不明確だ。政権内に会議体があふれる。「新しい資本主義実現会議」が軸になりつつあるのだろうが、「経済財政諮問会議」との関係はどうなのか。さらに「全世代型社会保障構築会議」「デジタル田園都市国家構想実現会議」「こども未来戦略会議」と並ぶ。会議相互の調整は不可欠だ。

担当大臣の存在感も薄い。何人かの官邸・官房スタッフが汗をかいているようにも見えるが、組織力が弱い。かつて長期経済計画策定などで統括機能を果たしていた経済企画庁は内閣府に統合され分析力、調整力の低下が目立つ。

司令塔がはっきりせずデータに裏付けられた展望がなければ、政策運営は無責任になるだろう。

(横ヤリ)

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